「副業を始めるなら、AIを使ったほうがいいのだろうか」
そんな疑問を持つ会社員の方もいるのではないでしょうか。生成AIは、文章作成や情報整理、アイデア出しなど、さまざまな作業をサポートできるようになりました。副業でもAIを活用する方法が広がっていますが、「AIを使えば本当に副業収入が増えるのか」「具体的に何が変わるのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
実際、AIを活用している副業者と、活用していない副業者の間には、平均月収に差が見られた調査があります。ただし、この数字だけを見て「AIを使えば収入が1.8倍になる」と考えるのは適切ではありません。
この記事では、副業とAI活用に関する調査結果を紹介しながら、AIを使うことで何が変わるのか、会社員が副業にAIを取り入れる際の注意点、今日からできる具体的な一歩について解説します。
AIを使う副業者と使わない副業者では収入に差がある
まずは、実際の調査結果を見てみましょう。
株式会社AIスキルが2025年9月に実施した「副業とAI活用に関する実態調査」では、インターネットで完結する副業をしている20代〜60代以上の男女259人を対象に、AIの利用状況などを調査しています。調査では、AIを活用している104人の平均副業月収が46,010円だったのに対し、AIを活用していない155人は25,066円でした。単純に比較すると、AI活用者の平均月収は非活用者の約1.84倍です。
ただし、ここで注意したいのが「AIを使ったから1.84倍稼げた」とは限らないことです。この調査は、AIを使っている人と使っていない人の収入を比較したものであり、AIの利用以外にも、もともとのスキルや経験、仕事内容、作業時間などが収入に影響している可能性があります。また、この調査はAI活用に関するサービスを提供する株式会社AIスキルによる調査です。そのため、数字を見る際には調査主体や対象者も確認したうえで、「AI利用者のほうが平均月収が高かった」という結果として捉えるのが適切でしょう。
AIを使うと副業で何が変わるのか
では、AIを使うことで副業の何が変わるのでしょうか。
限られた時間で作業を進めやすくなる
会社員は本業があるため、副業に使える時間が限られています。そこでAIをアイデア出しや構成作成、文章のチェックなどに活用すると、作業の一部を効率化できます。例えばWebライティングなら、記事のテーマを決めた後にAIへ複数の構成案を出してもらい、その中から使えそうなものを選ぶ方法があります。
ただし、AIに任せればすべての作業が短時間で終わるわけではありません。AIが出した内容を確認したり、情報の正確性を調べたり、文章を修正したりする時間は必要です。AIは「作業を丸ごと任せる道具」というより、作業の一部を補助する道具として使うほうが現実的です。
新しい分野を調べるきっかけを作りやすい
副業を始めるとき、「興味はあるけれど、何から調べればいいのか分からない」と感じることがあります。AIを使えば、分からない言葉をかみ砕いて説明してもらったり、調べるべき項目を整理したりできます。
例えば、
「Webライティング初心者が記事を書く前に確認することを教えて」
と質問すれば、記事を書く前に確認したいポイントを整理する際の参考になります。ただし、AIの回答が正しいとは限りません。特に専門性の高い内容では、AIの回答をそのまま情報源にするのではなく、信頼できる情報源を確認することが必要です。
自分の経験を副業に活かしやすい
AIを使った副業だからといって、AIにすべてを任せる必要はありません。むしろ、自分の経験とAIを組み合わせることで、自分ならではの仕事につなげやすくなります。例えば営業経験がある人なら営業に関する記事、事務経験がある人なら業務効率化に関する記事など、自分の経験をテーマにできます。
AIには構成やアイデア出しを手伝ってもらい、実際の経験や具体例は自分の言葉で加える。このように役割を分けることで、AIだけでは作りにくい内容を作りやすくなります。
AIを使わない人が多いのはなぜ?
千葉大学の研究チームが、日本全国の18歳以上のインターネット利用者13,367人を対象に行った調査では、生成AIを利用していた人は21.3%でした。つまり、調査時点では生成AIを使っている人は約5人に1人という結果です。
また、生成AIを使わない理由として、「必要性を感じない」が39.9%、「使い方がわからない」が18.5%でした。この結果からも、AIに興味がないというより、「何に使えばいいのか分からない」「どう使えばいいのか分からない」ということが、利用のハードルになっていると考えられます。
副業でAIを使う場合も、最初から高度な使い方を覚える必要はありません。まずは、自分が普段している作業の中から「AIに手伝ってもらえそうなこと」を一つ探してみるだけでも十分です。
副業市場でも生成AI関連の案件が増えている
AIを使うメリットは、作業効率だけではありません。
クラウドワークスが2023年12月に公表したデータによると、2022年12月〜2023年11月の1年間に、生成AI関連の契約案件は5,832件ありました。また、2023年11月の生成AI関連の契約案件数は、前年同月と比較して8.4倍に増加しています。同じ調査では、生成AI関連の契約案件単価が、生成AI関連以外の仕事と比較して1.8倍だったことも報告されています。
ただし、これは2022年12月〜2023年11月の取引データをもとにした結果です。そのため、「現在のAI案件もすべて1.8倍高単価」と考えるのではなく、少なくとも当時、生成AI関連の仕事が増加し、比較的高い単価で取引されていたことを示すデータとして見る必要があります。AI副業に興味がある人にとっては、今後どのようなAI関連案件があるのかを確認する一つの材料になるでしょう。
会社員がAIを副業に取り入れる際の注意点
AIは便利なツールですが、使えば使うほど収入が増えるわけではありません。副業でAIを使う場合は、次の点に注意しましょう。
AIの出力をそのまま納品しない
AIが作った文章には、誤った情報や不自然な表現が含まれる場合があります。そのため、AIの出力をそのまま納品するのではなく、自分で内容を確認し、必要な部分を修正しましょう。最終的な品質に責任を持つのは、AIではなく仕事を受けた本人です。
AIの利用ルールを確認する
案件によっては、AIの利用を禁止・制限している場合があります。「AIを使えるだろう」と自己判断するのではなく、応募前や受注前に依頼者の指示や案件の規約を確認しましょう。「AI使用不可」「AI使用時は申告が必要」などの条件がある場合は、その指示に従う必要があります。
情報の正確性を確認する
AIは、もっともらしい文章を生成しても、その内容が正しいとは限りません。特に医療・健康、金融、法律など、読者への影響が大きい分野では慎重な確認が必要です。AIから得た情報だけを根拠にせず、公的機関や専門機関など、信頼できる情報源で事実を確認してから使用しましょう。
AIに入力する情報にも注意する
AIを使う際は、入力する情報にも気をつける必要があります。案件を通じて知った顧客情報や社内資料、未公開情報などを、ルールを確認せずAIサービスに入力するのは避けましょう。勤務先や依頼者のルールだけでなく、利用するAIサービスの情報の取り扱いについても確認しておくと安心です。
今日からできるAI活用の第一歩
自分の経験をAIに入力してみるところから始めてみましょう。例えば、次のような質問です。
「これまでの実務経験を活かせるWebライティングのテーマを10個考えてください」
私自身も、AIにこのような質問をしたことがあります。出てきた案の中には、自分では記事のテーマになると思っていなかった切り口もありました。ただし、そのままAIの案を採用するのではなく、「これは実体験とは違う」「この部分なら自分の経験を加えられる」と考えながら修正しました。
AIに答えを作ってもらうのではなく、自分の経験を整理するための相手としてAIを使う。この使い方なら、AIに詳しくない人でも試しやすいでしょう。
まずは小さく試してみる
AIを使った副業を始めるからといって、いきなり案件を受注する必要はありません。まずは、
- 自分の経験を3つ書き出す
- AIに副業のアイデアを出してもらう
- 興味のあるテーマを1つ選ぶ
- AIに記事構成を考えてもらう
- 自分で内容を確認して記事を書いてみる
という流れで試してみましょう。実際に使ってみると、「ここはAIに任せやすい」「ここは自分で考えたほうがいい」といった違いも見えてきます。最初からAIを使いこなす必要はなく、まず一つの作業に使ってみて、自分に合った使い方を探していきましょう。
まとめ
AIを使ったからといって、必ず副業収入が増えるわけではありません。一方で、AIを活用している副業者と活用していない副業者の間に、平均月収の差が見られた調査があります。
2025年に株式会社AIスキルが実施した調査では、AI活用者の平均副業月収は46,010円、非活用者は25,066円でした。単純比較では約1.84倍の差がありますが、この結果だけで「AIを使ったことが収入差の原因」とは判断できません。また、千葉大学の調査では、生成AIの利用者は21.3%にとどまっており、「使い方がわからない」ことも利用のハードルになっています。
AI副業を始める際は、難しい使い方を覚えることよりも、まず自分の作業に一つ取り入れてみることが大切です。自分の経験を3つ書き出し、その中から一つ選ぶ。AIに副業のアイデアを出してもらい、構成を考える。そして、自分で内容を確認して記事を一本作ってみる。この小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
AIそのものに稼ぐ力があるのではなく、自分の経験やスキルにAIを組み合わせることで、できる仕事の幅を広げていく。それが、会社員がAIを副業に取り入れる一つの方法です。
参考・出典
- 株式会社AIスキル「副業とAI活用に関する実態調査」(2025年9月)
調査結果・出典元(PR TIMES) - 千葉大学「生成AIを使う人・使わない人の違いが明らかに―日本全国のネット利用者1万3千人調査で見えた新たな『AI格差』―」(2026年1月)
千葉大学の調査結果 - 株式会社クラウドワークス「生成AI関連の契約案件数 昨年比8.4倍に」(2023年12月)
クラウドワークス公式発表
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